問題集を出しました

このブログでは総合内科専門医試験を受験する方にむけて問題を試作しているコーナーがあります。しかし、なかなか画像が鮮明に表示しにくかったり、アップした内容にも日々変わるガイドラインに対応できないなど、いろいろ問題がありました。このブログで使用した試作問題を中心に、より試験問題を意識した提示形式とし、その最新ガイドラインを盛り込んだ解説、さらには試験の傾向やそのほかに出題の可能性のある項目、サブスペなどの一言、なども盛り込んで430ページにおよぶ問題集を発刊することになりました。カラー写真もふんだんに提示しております。ご興味ありましたら是非店頭で手に取ってみてください。

試験のあとも残しておきたい「新」内科専門医・総合内科専門医試験対策問題集

中島智樹  著

以下、序文をそのまま抜粋します。

「はじめに

西洋医学は,その進歩とともに膨大な知見が集積され,今やサブスペシャリティ(以下,サブスペ)に細分化され,各分野でその専門医が診療に携わる時代となりました.内科領域も循環器内科,呼吸器内科,消化器内科,腎臓内科,など多くのサブスペに細分化され,自分の専門領域以外の疾患は対応困難であると意思表示する医師も増え,地域医療に問題が生じてきました.しかし実際,すべてのサブスペの常勤医がおられるのはわずかな施設に限られ,病院や診療所の内科医が自分の専門以外の疾患についても幅広い知識をもって初期対応を行い,適切な専門医へと連携することができなければ,地域医療のニーズには応えていけないのが現状です.
このような背景があり,昨年から「(新)内科専門医試験」が実施されました.一般内科医としての知識,経験を十分備えたうえで,最初にこの「(新)内科専門医」の資格を取得しなければ,サブスペの専門医資格を取得していくことができなくなりました.ではその最初に受ける(新)内科専門医試験ではどのような内容が問われるのでしょうか? これまでの認定内科医試験や総合内科専門医試験は各サブスペの先生が出題されていると思われるものがほとんどでした.そのため,試験自体は,一般内科医としてよりも各サブスペとして知っておくべき専門的な内容も多く含まれていました.今回始まった新内科専門医試験は,合格率からみると難易度はこれまでより低くなったとはいえ,従来通り幅広い内科領域から出題されているようです.また,専門医試験合格ののち総合内科に進まれる方にはこれまでと同様,幅広く深い内科の知識が試される総合内科専門医試験が待っています.
医師はサブスペ志向が強くなっている一方で,内科専門医試験は幅広い知識を要求するという中で,結果としては,せっかく試験準備に時間をかけても,あまり実地とは結びつかないものとして試験が位置づけられ,試験合格後は,本はゴミ箱行きという残念な傾向を私は感じています.せっかく勉強して得た知識をもとに,これをぜひ幅広い臨床に役立ててほしい,そのために何か工夫した問題集が作れないかと私は思っていました.
私は,さまざまな疾患患者が来院される地域中核病院に長年勤務しています.もともと肝臓内科医,消化器内科医として診療に従事してきましたが,肝疾患は臓器連関が重要なものが多く,一般内科的な知識を広げながらキャリアを積んできたこともあって,幅広く内科疾患を経験したり,他の医師と併診で診療にあたったりする機会にめぐまれました.そのような経験を生かして,実際の症例を専門医試験風にアレンジした問題とその解答,解説,さらにはその作問したもとの症例について,実際の現場での対応やその後の経過なども盛り込み,実際の臨床にも役立てていただける内容としました.問題の選定にあたっては,日本内科学会が公表した認定内科医や総合内科専門医試験過去問題集や実際に試験を受けられた先生方からの情報をもとに試験傾向を分析しました.解説は試験傾向を重視しつつも,臨床現場でどうしてもつかんでおきたいことも補足事項として盛り込んでいます.
実際の症例の診療にあたった視点から作問し制作した本書は,さまざまな形で皆さんのお役に立てるのではないかと思います.試験準備にはもちろん,試験が終わった後も,捨てずにじっくり読んでいただいたり,臨床で困ったときに調べていただいたりするなどして本書がお役に立てれば幸いです.」

この手の試験対策本はレビューなどでもかなり辛口評価が多いようで、私の本も同じような評価を受けることはある程度覚悟しておりますが、少しでも多くの先生方のお役に立てればと願っております。

 

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